最近、ドイツ最大手の金融機関であるドイツ銀行に関するニュースを連日のように見かけます。
ユーロ圏最大の経済国であるドイツの最大手銀行の経営が、危機的状況にあるのでは?という懸念が出ているのです。
日本で例えれば、東京三菱UFJ銀行や三井住友銀行が危ないぞ!と言われているような状況なわけで、明らかに普通ではありません。
いったい何が起きているのでしょうか?
発端は2015年度決算の巨額赤字
2015年7月にドイツ銀行の再建を託されCEOに就任したクライアン氏は、思い切った従業員削減、店舗閉鎖、不良債権処理によって、抜本的な経営立て直しを図りました。(クライアン氏はスイス金融大手UBSの元トップ)
その結果、2015年は68億ユーロと8000億円近い大赤字決算となりました。
ドイツ銀行の株価ですが、上記の通り2015年途中に経営がうまくいっていないことが明るみになり、大リストラを実施したことで大暴落しました。
株価の急落っぷりは下のグラフをご参照ください。
(画像引用:Bloomberg)
2016年 ドイツ銀行のCoCo債がやばい?
2016年2月に発表された2015年度決算の巨額赤字に加え、もう一つ注目を浴びるようになったのがCoCo債という仕組み社債です。
CoCo債とは?
CoCo債という金融商品があることを私は初めて知ったのですが、いかにも市場の混乱を招きそうな金融商品のようです。
仕組みをざっと見てみましょう。
CoCo債は比較的最近にヨーロッパの銀行が登場した銀行債券で、「偶発転換社債」とも訳されています。(Contingent Convertible Bonds)
CoCo債は、普通の債券に比べて利回りが高く(例えば年利5%以上など)、投資商品としての魅力がありますが、代わりにリスクが大きく、且つそのリスクが把握しづらい特性があります。
というのも、投資先企業の財務内容が悪化して一定以下にまで悪化すると、突然株式に転換する特殊な債券だからです。
普通の転換社債
満期になったときに元本の返済をお金で受け取るか、株式で受け取るかを選択できるような社債を指します。
投資家は、債券を買ったときより株価が上がっていれば株式へ転換し、市場で売れば儲かると発送します。一方で満期時点の株価が下がっていれば、現金での返済を選択すれば良いわけです。
CoCo債
一方でCoCo債は「偶発」転換社債とも呼ばれており、債券を買った人には選択権がありません。
CoCo債の発行企業の資本比率の低下をトリガーにして、社債が強制的に株式に転換されてしまうため、投資家から見れば元本が突然大幅に削減されてしまうというリスクがある銀行債です。
話をドイツ銀行の株価に戻しますと、ドイツ銀行の赤字決算に加えて、CoCo債の利子が払えなくなるのでは?とか、CoCo債が強制的に株式に転換されてしまうのではないか?といった懸念が市場に持ち上がりました。
ドイツ銀行のネームバリューに幻惑されて気まぐれな爆弾のような債券を買い込んでいた投資家は、ドイツ銀の赤字決算を機会にパニックになったわけです。
アメリカ司法省からの1.4兆円規模の和解金要求
窮地のドイツ銀行に対して、さらに辛い出来事が最近起きました。
9月15日、アメリカ司法省がドイツ銀行に対して総額140億ドルの和解金支払いを要求したのです。
今回の裁判の発端は、2005年から2007年にかけてドイツ銀が米国で販売した住宅ローン担保証券(RMBS)、つまりサブプライムローン問題の頃にさかのぼります。
住宅ローンを多く集めてRMBSとして証券化し、債務の優先順位が高いものから切り分けて、投資家に販売していったのです。
その中に、焦げ付きが多発したサブプライムローン(信用度の低い個人向けの住宅融資)が含まれていたことで、世界的金融危機が起きたことは記憶に新しいかと思います。
当時、ドイツ銀行は米国の投資銀行を模倣して利益率の高いRMBSを作り、全世界的にばら撒きました。
米国も販売先となっていたため、サブプライムローン時の責任をアメリカ司法省から言い渡されたという格好です。
サブプライムローンというリスクの高い商品をさも安全かのように販売していたことに言い訳は無用ですが、リストラ途上で直近決算が大赤字という中で、1.4兆円の和解金を本当に背負わされるのであれば、経営危機に陥りかねません。
ドイツ銀行のクライアンCEOは、米司法省へ直談判に出ましたが、話は物別れに終わったようで、市場では不安の声がさらに高まっています。
新たな金融危機の火種?
ドイツ銀行にもしものことがあったら、サブプライムローン問題~リーマンショック以上の金融危機が訪れるのでは?と危惧するアナリストもいます。
下図を見てください。
システム上重要な、グローバルな銀行間の「システミックリスク」を表わした相関図です。
この図が示唆するのは、ドイツ銀行の危機は決して1つの銀行や1つの国の中の問題に留まらないということです。
ドイツ銀行が発行した株式、証券化商品等が暴落すれば、全世界的に影響が及ぶような複雑に絡み合いがあるため、金融危機の火種になりかねないわけです。
(画像引用:IMF報告『FINANCIAL SYSTEM STABILITY ASSESSMENT』より)
以上、本日はここまで。
昨年後半からドイツ銀行に関する悪いニュースはチラホラ見かけてましたが、調べてみると事態は本当に深刻なことが分かりました。
金融危機の火種になりうる話なので、今後も注視していきたいと思います。
それでは!
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